さびにくく見た目も美しい錫の食器は、熱伝導率が高いので、冷たい物を入れれば冷たくなりひんやり美味しくいただけます。逆に温かい物を入れれば温かくなり温かさを保ちながらいただくことができます。
とても使いやすい食器ですが、毒性があると聞いたことがある方もいらっしゃると思います。どうして錫の食器は毒性があると言われるのでしょうか。
この記事では、錫の食器は毒性が溶け出すことがないことについてや、毒性があると言われるのはなぜなのかについてご紹介します。
また、昔の食器は毒性に注意する必要があることや毒性が心配なら日本製の錫の食器を使うこと、錫の食器のお手入れ方法もご紹介します。ぜひ参考にしてください。
錫の食器は毒性が溶け出すことはない
錫は鉄などの金属に比べると、比較的柔らかい素材です。熱伝導率が高いので、温かいものを入れれば温かくなり、冷たいものを入れれば冷たくなり、入れたものを美味しくいただけます。
錫の食器はとても使いやすいですが、毒性があると言われることがあります。体に悪い影響があると思い使わないようにしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、これは嘘です。錫の食器を使っても毒性が溶け出すことはありません。
金属はさびるものが多いですが、錫はさびたり腐食したりしにくい素材です。さびて有害物が溶け出す可能性も少ないので、安全に使うことができます。
錫の食器に毒性があると言われるのはなぜ
錫の食器は毒性が溶け出すことはありませんが、どうして毒性があると言われるのでしょうか。
考えられる一番の理由は鉛です。錫に不純物として鉛が混じっていることがあります。錫には問題はありませんが、鉛は有害になります。
現在の日本では鉛を含んだ合金を食器などで使うことが禁止されています。しかし、昔は加工しやすくするために微量に混ぜていたことがあります。これが毒性があると言われる理由の1つです。
また、有機錫が環境を汚染したということを聞いたことがある方もいらっしゃると思います。有機錫は有害な物質なので、錫は有害と言われることがありますが日用品に使われる錫とは違います。
このような理由から錫の食器は毒性があると言われることが多いようです。
昔の錫の食器は毒性に注意しよう
不純物がない錫の食器は毒性がないので安全に使用できます。ですが、上でも紹介したように、昔は加工しやすいように鉛を混ぜていた事があります。
江戸時代の頃の錫の食器には、鉛が2割以上含まれていたものもあったといいます。
昔の食器は味があり、独特な魅力があるので集めている方もいらっしゃると思います。
しかし、昔の錫の食器を実際に使用するのはおすすめできません。錫の食器でも、昔の食器には鉛が混ざっている可能性が高いので、観賞用として楽しみましょう。
毒性が心配なら日本製の錫の食器を使おう
錫の食器には鉛が含まれている可能性があります。安全に錫の食器を使用したいなら日本製の食器を使うのがおすすめです。
日本では現在、食品衛生法で鉛を含んだ合金は食器など口にふれるものの素材として使ってはいけないという安全面の取り組みがされています。
しかし、海外の商品の中には鉛が含まれているものもあるそうです。食器として使用しないよう表記されていたり、成分がわからないものなどもあるので、海外の錫の食器には注意が必要です。
錫の食器のお手入れ方法
錫の食器はさびにくく使いやすいですが、長く使うためにも正しいお手入れをする必要があります。
柔らかい素材なので、たわしなどでゴシゴシすると傷が付きます。必ず柔らかいスポンジを使いましょう。
洗剤は台所用の中性洗剤を使い、クレンザーのような研磨剤が入っている洗剤は絶対に使わないようにしましょう。
錫は融点が低いので、使う水はぬるま湯くらいにしましょう。温度の高いお湯は使用しないよう気をつけましょう。
洗い終わったら、柔らかい布で水気を拭き取り乾燥させることが大切です。
汚れたら洗って乾燥させるのが基本です。しかし、しっかりお手入れしていても使っているうちに変色したり、光沢をなくすこともあります。
見た目が変化してきたら、重曹でのお手入れがおすすめです。重曹に少量の中性洗剤を混ぜ、ペースト状にし磨く方法です。
お手入れのコツはムラなく全体的に磨くことです。磨き終わったら中性洗剤を使って洗い水気をしっかり拭き取り乾燥させましょう。
重曹は弱アルカリ性なので皮膚への影響は少ないでが荒れる方もいます。敏感な方は手袋をはめるなど工夫して行ってください。
まとめ
この記事では、錫の食器の毒性についてご紹介しました。不純物が入っていない錫の食器に毒性はありません。
ですが、すべての錫の食器が安全だと言うことではありません。昔作られたものや海外で作られた粗悪品などは鉛が混ざっていることがあり、毒性があるものもあります。
錫の食器を使うなら、不純物が入っていないか確認することが大切です。
また、錫の食器はきちんとお手入れしていれば長く使えます。きちんとお手入れし、美しい錫の食器を使いましょう。