日本の伝統的なガラス食器が人気-種類や産地と類似品の見分け方

:2022/08/10

ガラス 食器 日本

ガラス食器は、ガラスと光が織りなす繊細な美しさが魅力ですよね。そのような日本の伝統的なガラス食器が、世界から注目されているようです。
この記事では、日本のガラス食器が世界からも人気を集めている理由や、代表的な日本のガラス食器の産地や種類などについてまとめました。見分けるのが難しいと言われている、伝統的な日本のガラス食器の類似品の見分け方などについてもご紹介します。

日本のガラス食器は海外でなぜ人気

ガラス食器というと、バカラで有名なクリスタルガラスや、べネチアングラスなどをイメージする方が多いかもしれません。
けれども日本のガラス食器も、世界から熱い視線を浴びているのをご存知ですか?
海外から評価され、製品を輸出している老舗ガラスメーカーも多いですよ。

日本のガラス食器は、なぜ世界から人気を集めているのでしょうか。
それは、製品の精密な繊細さに加え、和食人気の高まりと日本のアニメ人気の影響が考えられます。

和食は2013年に、ユネスコ無形文化遺産として登録されました。
和食人気の高まりと日本のアニメ人気の影響もあり、日本のガラス食器はその繊細な高い品質で海外でも人気を博しています。
実際、日本が世界に誇るガラス食器メーカーはいくつもあり、海外にもファンが多いようですよ。
世界的な和食ブームや、日本のアニメ人気などもあり、繊細な日本のガラス食器が注目されているというわけです。

アニメとのコラボで世界から注目される日本の食器

日本のガラス食器が世界の国から興味を持たれるようになったきっかけのひとつが、アニメやスタバとのコラボです。
特に近年では、アニメと日本の伝統工芸がコラボした企画が盛んです。
日本の人気アニメとコラボしたガラス食器で、海外のアニメファンからも注目されているものには、次のようなものがあります。

  • アメリカで生まれた世界最大のコーヒーチェーン店、スターバックスと江戸切子がコラボしたグラス
  • 喫茶店ラビットハウスを舞台にしたアニメ「ご注文はうさぎですか?」とコラボした江戸切子グラス
  • 本格フィギュアスケートアニメ「ユーリ!!! on ICE」とコラボしたフリーカップ

日本の伝統的なガラス食器の主な産地

ガラス食器で有名な、日本の主なガラス工芸品の産地をご紹介します。
「びいどろ」とは、ポルトガル語でガラスを表す「Vidro」(ビードロ)からくる呼び方です。

  • 小樽ガラス…北海道小樽市
  • 津軽びいどろ…青森市
  • クリスタルガラス…茨城県南地域
  • 上越クリスタル…群馬県みなかみ歯
  • ハルナグラス…群馬県榛東村
  • 江戸硝子…東京都墨田区・荒川区・文京区・江戸川区・葛飾区・台東区
  • 江戸切子…東京都江東区・墨田区・江戸川区・葛飾区・中央区・大田区・台東区
  • ガラス工芸品…神奈川県川崎市
  • 富山ガラス工房…富山県富山市
  • 能登島ガラス工房…石川県七尾市
  • 金沢卯辰山工芸工房…石川県金沢市
  • 天満切子…大阪府北区天満橋
  • ガラス工芸…大阪府和泉市
  • 蜻蛉玉…大阪府藤井寺市
  • ガラス製品…大阪府大阪市・堺市・岸和田市・豊中市・吹田市・東大阪市
  • 肥前びーどろ…佐賀県佐賀市
  • 精密ガラス製品…熊本県天草市・荒尾市・宇土市・嘉島町・上天草市・熊本市・玉名市・御船町
  • 薩摩切子…鹿児島県鹿児島市・南さつま市・さつま町
  • 琉球ガラス…沖縄県

日本の伝統的なガラス食器の種類

  • カットガラス
  • 吹きガラス

日本の伝統的なガラス食器の種類は、カット技術を活かした「切子」などのカットガラスと、息の吹き方でさまざまな造形を生み出し、華やかな色彩で日本の感性を表現する「吹きガラス」とに大きく分けられます。

カットガラス(切子)

  • 江戸切子
  • 薩摩切子
  • 天満切子

切子の代表的なものは、江戸切子・薩摩切子・天満切子と言われています。
繊細なカットが生み出す輝きは、世界中にファンがいます。
いつから切子ガラスが存在したかというと、江戸時代の昔にまで遡ることができます。

江戸切子は江戸時代の後期、1834年(天保5年)、江戸大伝馬町のビードロ問屋がガラスの表面に細工を施したことが始まりと言われています。
大阪の天満切子も、江戸中期の1700年代中頃にガラス製造が始まりました。
長い歴史に培われて、ガラス食器は現在も私たちの目を楽しませてくれるのですね。

吹きガラス

  • 肥前びーどろ
  • 琉球ガラス

世界に注目される高い技術を持つ日本の吹きガラス。
日本の吹きガラスの代表的なものには、佐賀の「肥前びーどろ」や、沖縄の「琉球ガラス」があります。

幕末の大砲製造において、ガラス器製造を手がけたのが始まりの肥前びーどろ。
肥前びーどろの大きな特徴は、鉄ではなくガラスの吹き竿で作られることです。この宙吹き技法は「ジャッパン吹き」と呼ばれる日本独特の技法で、よりなめらかに仕上がります。

一方、琉球ガラスは明治中期に始まったと言われています。廃瓶で作られていましたが、戦後にはアメリカから入ってくる色のついた瓶からも作られるようになりました。
厚みと丸みがあることとガラスの中に閉じ込められた気泡が特徴で、ぬくもりを感じる独特の味わいを醸し出しています。

浮き玉から生まれた吹きガラス

  • 小樽ガラス
  • 津軽びいどろ

吹きガラスの歴史には、日本の漁業で使用されていたガラス浮き玉から発展したという側面もあります。
それまで使用されていた木材の素材と違い、加工しやすく水に浮きやすいガラスの浮き玉は、多くの漁業の現場で利用されていました。

しかし、浮き玉はその後プラスチック製に変わっていき、需要は激減。
そのような中、薄くガラスを作る浮き玉製作の技術を活かせないかとの思いから生まれたのが、小樽ガラスや津軽びいどろです。

浮き玉作りで培われた柔らかな曲線を作る加工技術は、ハンドメイドガラス製作に活かされました。
現在、小樽ガラスや津軽びいどろなどのハンドメイドガラスは、手作りならではの温かな雰囲気で心を和ませてくれるガラス工芸品として人気を集めています。

中国製の「江戸切子」が販売されている?

経済産業大臣指定伝統的工芸品、東京都指定伝統工芸品に指定されて、東京のブランド品として親しまれている江戸切子。

江戸切子は、商標登録されている商品です。
厳密には、江戸切子協同組合に加入している職人が作った製品について「江戸切子」と呼べることが許されています。
ただし、商標登録以前から江戸切子を製造しているメーカーや職人の製品については、先使用ということで江戸切子と名乗ることが可能です。

このように商標登録もされている江戸切子ですが、近年では江戸切子の類似品が混ざっている割合も少なくはありません。
通販サイトなどで「江戸切子」と検索すると、数多くの品を探すことができますが、中には中国製のものも混じっているようです。

せっかく素敵な江戸切子を購入するなら、本物の輝きと美しさを持つものを購入したいですよね。
中国製など、類似品を見分ける方法はあるのでしょうか。

中国製の「江戸切子」の見分け方

中国製のものも質が上がってきており、サイトの写真だけでは見分けるのは難しい場合があります。
しかしながら、中国製の商品にはいくつか特徴を見つけることができます。
次のようなポイントに注意して、本物の江戸切子を探してみましょう。
メーカーや製品、職人名で検索してみたり、江戸切子を扱っている実店舗での購入もおすすめです。

  • 極端に値段が安い
  • 産地や職人名がなく、日本産・国産と明記されていない
  • ホームページなどがなく、製品の取り扱い先がない
  • 日本語の文章がおかしく、住所が日本ではない

ガラス食器の捨て方

最後に、ガラス食器の処分方法についてご紹介します。
30cm以上の大きなものは、自治体の粗大ごみで出しましょう。
小さく割れば不燃ごみとして処分できますが、割ることができないものは粗大ごみとなります。

  • 自治体の不燃ごみで出す…怪我をしないよう、新聞紙や布で包んで指定の袋に入れ、「われもの」など表記しておく
  • 不用品回収業者に依頼する…費用がかかるが、まとめて回収してほしい時などに便利
  • 割れていないなら、リサイクル回収で出す
  • 食器を扱うNPO法人などの団体に寄付する

まとめ

日本の伝統的なガラス食器には、切子などのカットグラスや吹きガラスがあり、海外からも人気でした。中には国産ではない類似品もありますので、注意しましょう。
ガラスには儚い美しさがありますが、きちんとお手入れをすれば長く輝きを保つことができます。もしも欠けてしまった時などは、メーカーによっては修理してくれるところもありますので、処分する前に一度相談してみると良いでしょう。

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